夕暮れのズルタニ > 隠された6等:第十一節

予測不能に直面する体験

隠された6等:第十一節



おばちゃんの素早さはノンストップだった。
なんともう開封作業を終えて、幸福のキップの中身を
細い目で確認しているではないか。

さらに確認作業の終わった幸福のキップはおばちゃんの
エプロンのポッケにワープしていた。
しかもポッケに入った後おばちゃんの手によって
グジャっと握りつぶされている気配をマコト君は
見逃さなかった。

次の瞬間おばちゃんの口から「あいあい、ありがとね」
の言葉が飛び出し、自動的な動きで6等のピンポン玉に
手を伸ばした。

ツトム君が「なんじゃはずれかっ」とぼやいた。

皆さん6等のピンポン玉は既に全部出ていて一つも
残っていないのをご記憶だろうか!!

「のーなっとらー」おばちゃんはぼそっとそう言うと
棚の奥から新品の景品シートを取り出し、ビニール袋から
下のほうだけ覗かせて、6等のピンポン玉をはずして
マコト君に手渡し、また自動的に別の子供の元に移動していった。

マコト君は酔拳の実演のように、フラフラに歩きながら
抜け殻になった心と体で、ツトム君に
「おみゃーがいらんことゆーけーどー」
と、割り切れない思いを暴発させるのだった。

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